アートdeArtU(9)町とアートの“架け橋”に―アートフェスタin大山崎2008
「アートフェスタin大山崎町2008」(アサヒビール大山崎山荘美術館や京都造形芸大などによる実行委員会主催)が始まりました。「アートでかけ橋」というテーマで、町の歴史や文化遺産とアートを結ぼうと、3組のアーティストが大山崎町に関わった作品を町内各所に展示しています。
…う〜ん、驚きました!どれも興味惹かれる作品ばかり。なんといってもバリバリの現代美術なんです。
小沢剛さんの作品は、野菜を組み合わせた「ベジタブル・ウェポン」(写真左)。世界中でその地域のモデルと料理を決め、食材を買って「銃」の形に組み立てて撮影、料理して食べる。…一連の行為が作品だといいます。「人間が起こす多くの戦争は、お互いを知らないことによる誤解が原因」とする小沢さん。「銃」を「食べてしまう」という行為を通じて、お互いの文化や歴史を理解しあえれば、という思いが伝わります。
オーストラリア在住の写真家セリーナ・オウさんは、町内で約1ヶ月暮らし、毎日撮影に。山荘美術館の職員や自動車ラインの技術者、駅員など町内で働く人々がモデルです。
アートユニット「パラモデル」の林泰彦さんと中野裕介さんは、私と同じ京都市立芸大の出身。玩具のレールやブロックなどを用い、地元の子どもたちとの共同制作の記録も展示されています。ビールケース1万3千個を使った作品(写真下)が天王山を背にそびえ立ち、なんだか微笑ましく、子ども心をくすぐられます。
山荘美術館では3作家の展示と常設展が見られますが、それぞれの作家のメッセージや個性がつよいので、作家ごとの展示を見てから山荘美術館へ、というコースがお勧めです。
それにしても、小さな町を舞台にこうしたアートイベントが行なわれるのはすごいことです。「大山崎区民会館や、大山崎集会所など、長年町民の皆さんが利用してきた比較的古い施設に、現代美術の作品がマッチングしている風景は、ちょっとした見ものです」と真鍋宗平町長(『町長短信』より)。
…なにかと話題の大山崎町ですが、“芸術家町長”の町が発信する真夏のアートメッセージにも、おおいに注目したいと思います。
*「アートフェスタin大山崎町2008」9月7日まで 075-791-9124(京都造形芸大)
*「アートでかけ橋」075-957-3123(大山崎山荘美術館)
★『京都民報』7/20付「成宮まり子のアートdeArt」