〔13日つづき〕
午後2時。「京都市立芸術大学の明日を考えるつどい」会場にはあふれんばかりの参加者でいっぱいに。〜退官された先生方のお顔、現役の若手教員や私も含めさまざまな世代の卒業生、そして市民のみなさん。
…「独立行政法人化」という京都市の突然の発表(8月)を受け、多くの人々が驚き心配されている様子がうかがえます。
会場からの発言では…
「議論の経過が市民に全く知らされず、京都市がなぜ独法化をすすめようとするのか理解できない」(卒業生)
「独法化は自分で儲けを出せということ。市の予算増額は見込めず、学費値上げにつながる。博物館などの仕事を請け負っているが、芸術・文化予算の削減路線こそが根本問題だ」(卒業生)
「大学内では『将来構想委員会』を設置して議論し、『独法化は妥当ではない』と結論を出したはず。他の芸術系大学では独法化して予算削減、教員任期制などの大変なことになっている」(退職教官)
「独法化で良くなるだろうと思っていたが、もっとしっかり考えるべきだと思って今日は参加した」(教員)
「独法化反対は当然のこと。もっと市民的な運動を広げてストップしたい。どうすればいいのかを教えてほしい」(教員) etc.
…熱い討論。“芸大の明日”へ、みなさん真剣です。 市議会論戦や「京都市立芸術大学のあり方懇談会」(尾池和夫座長)にも触れて、日本共産党の妹尾市議が問題点を指摘。
私も卒業生の1人として、独法化された京都国立博物館を訪問したときにお聞きした実態〜「ノルマ達成」が入場者数などで「評価」され「博物館が遊園地化しかねない」〜にも触れながら発言させていただきました。
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今回のことをめぐって、私は2つの大問題があると思います。
1つは、市民も大学内の議論も、そして「あり方懇」さえも無視・置き去りにした京都市の強引なやり方です!
芸大学内の結論は、発言にもあったように2年間かけた議論の結果、「独法化は妥当ではない」。明快です。
その後の独法化方針を、京都市は「あり方懇」の答申を受けたもののように言っていますが、実は「あり方懇」の最終結論とは「法人化を行うべしといった結論は出さない」だったことが、公開されている議事録(摘録)で明らかになりました。傍聴した妹尾市議は「尾池座長が全体に『懇談会としてはあくまでも法人化を行うべしといった結論は出さない』とわざわざ確認し、『大学の自治を尊重して幅広い議論に委ねる』とされたのを聞き、これで独法化にはストップがかかったと感じた」そうです。
それをねじまげ、独法化の責任を「あり方懇」になすりつけるようなやり方は恣意的だと言わなければなりません。
2つめに、独法化を強行すれば芸大の未来はとんでもないことになりかねない!ということです。
国・公立大学の独法化とは、いわゆる小泉「構造改革」「官から民へ」路線の一環であり、経費負担は法人の「自己責任」とされます。
すでに法人化された国立大学では運営交付金が5年間で720億円削減。公立でも運営交付金削減→職員の「派遣」「契約」化→教員も期限付き契約化などのことが起こっています。この事態に、沖縄県立芸大では「とても採算があわない」と法人化をストップしているほどです。
さらには“独立”の名前とは裏腹に、「大学の目標」は市長が決め、評価委員会が「業績」を「評価」するというのです。
…自由で批判精神に富んだ校風こそが京都芸大のすばらしいところ(←これは私の意見ですが)なのに、その芸大が“市長いいなり”とは、たまったもんじゃありません!
そのうえ芸術・文化への「業績評価」が一体どんな形になるのか?長い目で見るのでなく、「博物館の入場者数」のような「数値評価」となれば、こんなにイヤで恐ろしい話はありません!
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そういえば、08年2月の市長選挙で、中村和雄さんのマニフェストには「芸大の独立行政法人化はおこなわず、政令指定都市で唯一の市立芸大として発展させます」とありました。
…たった“951票差”で市長公約になりそこねてしまったこと。あ〜、本当に悔しい限りです!が、こうなれば市民の世論と運動で包囲するしかありません。
京都市民の歴史的な財産、そして私の母校である京都市立芸大のために、がんばるぞ〜!