10年2月27日(土)
見えてきた“貧困の構造的原因”と“克服への道すじ”〜京都弁護士会&法テラス シンポジウム2010
京都弁護士会と法テラス京都によるシンポジウム「見えてきた『貧困』」(キャンパスプラザ)に参加しました。
パネリストは、首都圏青年ユニオン・河添誠書記長、ウィメンズカウンセリング京都・井上摩耶子代表、後藤道夫・都留文科大学教授、木下秀雄・大阪市立大教授の4人。コーディネーターは尾藤廣喜弁護士がつとめられました。
…貧困・労働・社会保障をトータルにとらえ、“見えてきた”のは貧困の構造的原因、そして克服への道すじでした。う〜ん、さすが!
とくに興味深かったのは“大企業の国際競争力が大事”論をめぐる“反論”です。
「『国際競争力のため』と言っても、パワハラ、セクハラ、過労死まで生むような働かせ方は決して許されるものではない」(河添氏)
「『国際競争力がある大企業を大事に』の考え方が成り立たなくなったのがこの10年間。大企業の利益は労働者や中小企業にはまわらなくなった。グローバリゼーションの時だからこそ、中小企業をしっかり位置づけるべき」(後藤氏)
「ドイツの若手経営者たちが『あんなに簡単にクビ切りできるのか?日本はアンフェアじゃないか』と言われた」(尾藤氏)「労働者派遣法はヤクザよりたちの悪いピンハネ法。ドイツでは医療保険は本人・家族とも10割給付で、日本の『本人3割負担』には驚かれる。日本はもはや『国際的ダンピング国家』になっている」(木下氏)
…う〜ん、日本の異常(=ルールなき資本主義)がまさに国際的水準を切り下げてしまっているのですね。
さらに、★日本の最低賃金が国際比較でいかに低いか(←後藤氏作成のグラフ)、★「働ければどんな仕事でもいい」ではなく“きちんとした労働ときちんとした失業”に分化することが大事、★選択の余地のない福祉サービスや教育は無償にしてこそ生存権保障、etc.
…とても多くの興味深い論点、たいへん勉強になりました。そして、京都弁護士会と法テラスがこうした問題に正面からとりくまれていることはとても重要だと思います。貧困を克服する社会へ、ご一緒に力をあわせましょう〜!
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今夜の「貧ボラ」は、私は都合で欠席。けれど“路上”から3冊の本が返ってきました。『貧困襲来』(湯浅 誠)、『いのちのカルテ』(門ゆうすけ 編)、『マンガ蟹工船』(原作:小林多喜二)。
…路上生活の方や“脱出”へ奮闘中のお兄さんたちに回し読みしてもらっているところ。3冊とも好評です〜。