08年11月 6日(木)
「軍事力ではテロ拡大」ペシャワール会・中村哲さんら参院委で証言2008
臨時国会。「新テロ法」延長案の外交防衛委員会での質疑をこのところ参議院インターネット中継で視聴しています。
昨日は参考人として、NGO「ペシャワール会」の中村哲氏、国際協力機構(JICA)の力石氏が意見を述べられました。現地で非軍事の民生支援を行なってきた2人の証言は、ほんとうに重いものでした。
特に中村氏は、井上哲士議員らに答えて「『対テロ戦争』を名目にした米軍の空爆が治安悪化に拍車」「軍事力ではテロは無くならない。かえって拡大する」「アフガンへの軍隊派遣は“百害あって一利なし”」とくりかえし述べられました。…25年間もの医療活動や水利事業の経験に裏付けられた証言。大きなインパクトと説得力があります。
「アフガニスタンの人々にとって最大の脅威は大干ばつ。この冬を越せるかどうか500万人が飢えている。小麦の値段は1年で3倍になり、食べていけないから悪いことに手を出したり、傭兵になったりせざるを得ない現実」
「もともとアフガン人は『親日的』だったが、日本が米国の軍事活動に協力していることが知られるにつれ、私たちNGOも身辺に危険を感じるようになった」
「戦争でテロは解決しない。いま米国自身も『対話が必要だ』と動き出している。平和国家日本は、そのまとめ役・調停役をするべきではないのか」
「『経済成長率10%』というが、食えない人々が大勢いて、子どもたちが清潔な水がなくて死んでいく。支援と言うなら、まず人々が生きられるようにしなければならない」
民主党議員の質疑では、民主「対案」(アフガン本土への自衛隊派兵)についてのやりとりもありました。中村氏は、「治安維持は現地警察の仕事であり、軍隊の仕事はないと言わなければならない。『自衛隊』という軍隊派遣によって、かえって治安は悪化する。断言したい」と反対を表明。
自民議員(“髭の隊長”こと)には、「してはいけないことは『人殺し』であり、人殺し部隊=軍隊と名のつくものを絶対に送ってはならない。自衛隊派遣は有害無益」。
JICAの力石氏も、「民生支援を中心にやってきた日本までが、ついに軍隊を送ったのか、ととらえられる。自衛隊が歓迎されざる存在になる」と述べられました。
さらに公明議員に対して、中村氏は「『自衛隊が給油した部隊が空爆をしているのではない』などというその理屈は、現地の人々には通用しない議論だ」ときっぱり。
…ほんとうに、重要な参考人質疑でした。「新テロ法」延長案も、民主「対案」も、アフガニスタンに存在の理由なし!明らかです。
そして、この参考人招致自身、日本共産党・井上さんが要求していたもの。やっぱり“徹底審議で追いつめる”ことこそ議員の役割、野党の役割ですね!!(つづく)
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一方のアメリカでは、大統領選挙でオバマ氏当選とのニュースが。
“史上初の黒人大統領”誕生は、「人種の壁」を乗り越えていこうとするアメリカ、なにより「CHANGE(変化)」を求める国民世論の大きさを示したと思います。アフガンやイラクでの泥沼の戦争、金融危機の背景にあるバクチ的資本主義・新自由主義。〜それらとの「訣別!」こそ、アメリカ国民の願いなのだと。
…「オバマさん、アメリカは本当に変わるの?」。米国民だけでなく、世界中の人々も見ていますよ。アフガンやイラクの民衆、そして日本でも多くの人々が。