08年4月 3日(木)
市民の手で「気候保護法」を―気候ネットワークシンポジウム2008
気候ネットワーク(環境NGO)による、温暖化防止のために市民の手で気候保護法をつくろう、というシンポジウムがあり、参加しました。
シンポジウムは3月の東京に続く2回目で、今回は「中長期を見据えた温暖化防止政策〜欧米の法制度に学ぶ」というテーマ。
まず浅岡美恵・気候ネットワーク代表から英国の「気候変動法案」―気温上昇を2℃未満に抑えるための温室効果ガス削減の中長期目標や、大口排出事業者などの大幅削減をめざした排出権取引制度などについて報告がありました。続いて、EUの排出量取引制度について改正議論の経過も含めて新澤秀則・兵庫県立大学教授が報告。和田重太弁護士からは、米国リバーマン・ウォーナー法案(気候安全保障法案)の紹介。最後に、植田和弘・京都大学教授がコメントされました。
あらためて、目を見開かされることが沢山ありました。思いつくまま列挙すると…
「2℃未満」は絶対!:産業革命以前からの気温上昇をこの範囲内に抑える目標。「3℃上昇すれば地球上の30%の生物は死滅する」という科学者たちの研究にもとづいた数値。
中長期目標の大切さ:上記の目標を達成するために、イギリス、ドイツ、EU、そして米国の法案も、「2050年までに60〜80%削減」などの排出量削減目標を持っているが、日本政府は京都議定書の第1約束期間後(2013年以降)の目標がない。
大幅削減の手段は?:欧米では、排出権取引制度(キャップ&トレード)や環境税方式などが議論・実施されている。いずれにしても抜本的な排出量削減へ“社会をつくり変える”くらいの構えが必要な課題であり、しかもただちに議論し着手しなければならない。
最後は“政治判断”:世界から見て、日本は“ダダ遅れ”という現状だけれども、そもそも日本の技術は「省エネ」「公害防止」など、かつての環境保護規制に対応して大きく発展してきた。経済界まかせ(積上げ方式など)ではなく、最後は政治(家)が判断しなければならない。
…また特に、排出権取引制度=炭素(排出)に価格をつけ、「市場経済システム」を使って、企業や経済全体を“低(脱)炭素”な社会に誘導しようという発想・しくみに、おおいに興味をそそられました。おもしろい!とともに、待ったなし!です。
次回、ぜひみなさん、ご参加を!
*第4回シンポジウム(京都)4/15(火) 18:30〜メルパルク京都(JR京都駅)