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07年11月14日(水)

アートdeArtU(2)「アール・ブリュット」再びe001_artde)アート de Art

 「生のままの芸術」を意味する「アール・ブリュット」の企画展第2弾がギャルリー宮脇で始まりました。5月の展覧会にも大きな反響があったとのことで、今回は「色彩」にこだわった展示です。

 「アール・ブリュット」とは、時代や場所を超えて、精神の根源的な衝動からの創造とか、文化の影響の外側にある芸術という意味の言葉です。美術の専門教育を受けていない人々や、既存の枠組みでとらえられないものも含めて、欧米では美術の一分野として認識されています。

 今回は、有名な作家から、ごく最近にその存在が“発見”された人々まで、20人以上の80点近い作品が並びます。

 なかでもひときわ目を惹くのはイブ・フルーリーフランス1960〜)の作品(上)。名画やニュースなどの写真をもとに、独特の造形と強烈な色彩でアレンジされ、プリミティブなエネルギーが迸ります。

 シルビア・フラゴーゾアメリカ1962〜)は、モザイク状で独特のリズムを刻む色彩が、優しさと楽しさを溢れさせる作品。ダウン症に生まれ、22歳で絵を描きはじめて以来、人気画家として活躍中です。

 カラーフェルトペンによる点描が画面を埋めつくすのは、アントニア・ブリュリサウアースイス1916〜1998左)。生まれつき聴力がなく、話すことも書くことも学ばず、76歳の時にセラピストに勧められて絵を描きはじめたそうです。

 ファインアートの画商として日本で初めて、アール・ブリュットを本格的に紹介しているオーナーの宮脇豊さんは、「ほとんどが、日本初の紹介になります。すでに欧米で有名な作家の紹介とともに、未知のものを発見し開拓していくという意味で、面白さが尽きることのない分野」と、意気込みを語ります。

 1つひとつの作品から、特別な濃密さが伝わります。

 描く、創る、表現する、伝える…時代を超えた人間の営みや願いについて、あらためて考えを巡らせました。

*「アール・ブリュットの色彩」12/16(日)まで ギャルリー宮脇(京都市中京区寺町二条上ル東側 月休)075-231-2321

 ★『京都民報』11/17付「成宮まり子のアートde Art」

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