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07年5月 2日(水)

アートdeArt(18)“型絵染”絵本は伝える――田島征彦さんe001_artde)アート de Art

 絵本作家の田島征彦(ゆきひこ)さんを、新作「どろんこそうべえ」原画展(ギャラリーヒルゲート)に訪ねました。シリーズ4作目は、軽業師(かるわざし)そうべえが、子どもになって土の中の世界を冒険するお話です。

 「双子とはやっかいなものです」と征彦さん。双子の弟、征三(せいぞう)さんと、幼い頃から絵描きになろうと決めていたけれど、「セイちゃんと違って手先が不器用だった」征彦さんは、「弟と違うものを作らなければ」と京都市立美(芸)大の染織図案科へすすみ、型染を学んだそうです。

 会場の絵本原画も、目の覚めるような鮮やかな型染で、そのうえに筆が入り、染めと絵の具の風合いも独特。征彦さんは型絵染(かたえぞめ)″と呼んでおられます。

 同時に、征彦さんの絵本には、ユーモラスと反骨精神、弱者への優しさがあふれています。

 戦争体験にもとづく『ななしのごんべさん』には、障害のある女の子の眼から見た戦争が、どんなに不条理に満ちたものなのかと胸を打たれます。西口克己さん原作の絵本『火の笛‐祇園祭絵巻』は、支配される者、町衆に寄りそう視点がつらぬかれています。絵本の伝える力、伝えようとする作家のエネルギーってすごい、とあらためて感じます。

 実は、会場で、木村重信氏(兵庫県立近代美術館館長)とばったりお会いしました。征彦さんが美大在学中から応援し、昨年の「田島征彦と田島征三の半世紀」展にも、「日本的な染色技法(型絵染)の独自な視覚構造にもとづきつつ、征彦は高い芸術的世界を形成した」と書いておられます。

 …人と人、やっぱりアートって繋がってる!と感激した出会いでした。       (『京都民報』5/13付「アートde Art」掲載。対談も)

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