07年4月16日(月)
アートdeArt(17)北山杉、恵方へ――山田実展e001_artde)アート de Art
東山区のギャラリーはねうさぎに、京都市立芸大の先輩である山田実さんの個展を訪ねました。
「EHO‐恵方」と題した個展会場には、北山杉を使った立体が北北西の方角を指して並び、設置場所の緯度・経度・高度のGPS計測値が記されるとともに、アトリエのある京北地域で採録した水音がスピーカーから流れます。焼きと金彩が施されることで木の素材感がいっそう際立ち、水音は北山杉が育った場所をイメージさせるようです。
山田実さんの作品は、私自身も学生時代から見てきましたが、1980年代半ば〜90年代は、ギャラリーの特性(タイル模様など)から出発した、展示空間と作品との関係性の演出という要素がつよく出ていました。しかし近年は、素材を北山杉に固定してきたといいます。
「北山杉はお米みたいなものかな。こだわってはいないけれど、毎日食べておいしい」と山田さん。「作品は、頭のなかで『こうなるだろう』とわかっているだけでなく、目の前の素材と実際の工程があって初めて現われる。その素材と工程がいい具合なんでしょう」と、北山杉や京北の自然そのものへの愛着がにじみ出ています。
個展だけでも36回め。「恵方」とは少しでもよい方向へとのこと。地道につくり続ける真摯な姿を感じました。 (『京都民報』4/22付 アートde Art掲載
[山田実さんの略歴] 1960年京都市生まれ。嵯峨美術短大、京都精華大卒。京都市立芸大大学院美術研究科修了。1984年京都彫刻家連盟会員。