07年4月 1日(日)
アートdeArt(16)川上力三さん、作陶50年めの挑戦e001_artde)アート de Art
京都を代表する現代陶芸作家・川上力三さんの個展を訪ね、お話を聞きました。
今年で作陶50年になるという川上さんは、戦後の前衛陶芸をリードしてきた「走泥社」のメンバー。京都の若手陶芸が結成した走泥社は、従来の焼物の皿・壷という実用的な形を捨て、「オブジェ」など彫刻的な新しい表現をひらきました。
「若い頃、僕は“社会派”と言われていました。安保闘争や蜷川知事の時代の空気がそうだったんでしょう」と川上さん。大量消費社会や戦争への告発など、外に向かう作品を発表し、遺跡や建造物を連想させる数メートルもの大作も知られています。
今回の個展は、内面の追求をテーマにした「円相・位相・幻想」シリーズの新作。…常に陶芸の可能性を押し広げるような活動をしてきた作家の、いろんなものをそぎ落としたシンプルで凝縮された形。それが陶芸の素材=土の可塑性をあらためて感じさせます。
「エッシャーの4次元世界を立体で表現したらとか、次にやりたいことがいっぱいでね。あまり先のことを言う年齢ではないが、体力・気力の限界に日々挑戦ですよ」と、川上さんの眼は若者のように輝きます。
この展覧会は、ギャラリー恵風(けいふう)の5周年記念展。代表の野村恵子さんは「アートが好きでギャラリーは夢だったんです。作家もギャラリーも続けるのは大変だけど、作品を通して人と人との出会いをつくりたい」。…こういう時代だからこそアートを暮らしに。心を耕し人間らしく生きたい! と意気投合。
そういえば、京都のギャラリーはどこも女性ががんばっています。(『京都民報』4/8付掲載「アートde Art」)
*川上力三展〜4/8(日)ギャラリー恵風(左京区丸太町通東大路東入ル一筋目角2F)Tel 075-771-1011