07年3月19日(月)
アートdeArt(15)手の平で感じる展覧会――山本哲三展e001_artde)アート de Art
「つなぐ みつめて いのち」というシリーズ企画展が哲学の道近くのギャラリー揺(ゆらぎ)で始まり、第1回は彫刻家の山本哲三さんです。大理石&和紙に包んだ木材の作品は、素材の組み合わせが絶妙の柔らかさをかもし出しています。
ちょうど在廊だった山本さんにお話を聞くことができました。「いのち」を抽象彫刻で表現することの難しさを感じていた頃、ちょうど「皇室に男児誕生。体重2558グラム」というニュースを聞き、赤ちゃんの重さを石で感じてもらうような作品を考えたそうです。会場に並ぶ作品は、世界最小から最大までの赤ちゃんの体重とほぼ同じ重さで、「ぜひ抱き上げてみて下さい」と山本さん。そっと手の平に抱き上げて、ひんやりとしたその感触に「赤ちゃんってこんなに重かったかなあ」なんて思いました。
庭園には、大理石の月と海と陸の作品が置かれていました。月の引力によって海水が陸に繰り返し打ちつけるエネルギーのなかから、地球に生命が生まれたことをイメージしたといいます。
石、いいですね。こんなふうに手触りを楽しめる展覧会ってあまりないかも知れません。
山本さんは京都市立芸大の大先輩でもあ ります。…学生時代には、真鍋さん(大山崎町長)に難しい本をいっぱい薦められたそうで、そんな話でも盛り上がりました。
…やっぱり、アートっていろんな人に繋がってるんですね。
(『京都民報』3/25付「成宮まり子のアートdeArt」掲載)
*山本哲三展 3/25まで ギャラリー揺京都市左京区銀閣寺前町23 Tel 075-752-0242