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07年2月28日(水)

京都国立博物館へ井上哲士参院議員と@2007

 井上哲士参議院議員の京都国立博物館調査に同行し、文化財の修復工房などを見せていただきました。

 視察は、国立博物館などが独立行政法人化されて5年がたち、さらに今国会に文化財研究所との統合法案が出されていて、その審議のためのものです。

 まず佐々木丞平館長を訪ね、雪舟の〈天橋立図〉(!)が正面に掛けられた館長室で懇談しました。

 学芸員などのスタッフからも「経営努力で得た収益は自由には使えず、運営交付金は減るばかり。文化財購入費を削らざるをえず、国民的価値のある文化財が海外へ流出してしまう」「財務省は『数』で評価するが、大量客の大型企画ばかりはやれない。質を落として遊園地のようになっていいのか」との声。

 さらに、一般管理費15%削減や経常経費5%削減も課せられ、「博物館の本来の使命が果たせない。文化予算はなぜこんなに少ないのでしょう」との館長さんの言葉を、たいへん重く聴きました。

 続いて、館内にある文化財修復工房を見せていただきました。

 絵画などの修復をしている岡墨光堂では、絵の裏打ち紙を刷毛の水で少しずつ溶かしてピンセットで剥がしていく作業の最中で、ベテラン技術者でも1日かかって10cm四方くらいしか進まないそうです。全ての裏打ちを剥がす→欠けた穴に合う紙を手すきで作製→新たな裏打ち、という工程。ほぼ仕上がった絹本の仏画は20ヶ月かかったとのこと。

 また、仏像などの修復をしている美術院国宝修理所では、三十三間堂の千手観音像1000躯の修復を、一巡すればまた最初から、と半世紀以上もやっているそうです。

 …どちらも気の遠くなるような作業ですが「次の世に引き渡す」という言葉が印象的でした。

 制作当時の色や形を復元するというのではなくて、「数世紀を経てきた文化財を、傷みが進行しないように手を施し後世に引き渡す」というのです。

 …修復材料やそれを作る人がいなくなる危機も深刻だそうで、これらは絶対に「市場原理」や「効率」では測れない貴重な営みだと痛感しました。

 「独法化以後、活性化のために努力して入館者も増え、ずいぶん変わったと評価される」と佐々木館長。

 けれど、がんばって“ノルマ”を達成しても、財務省からは“右肩上がり”(ノルマ引き上げ)の収入増が求められ、大変なご苦労をされているんだそうです。 〔つづく〕

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