07年2月 8日(木)
ドイツ現代政治の木戸衛一助教授(大阪大学)と対談2007
●木戸先生の「平和研究」講座の本を手に
『京都民報』企画で、大阪大学大学院国際公共政策研究科の木戸衛一助教授を訪ねました。
木戸先生の専門はドイツ現代政治。ドイツの大学で教えた後、帰国すると阪大の研究室に銃をもった学生の写真が掲示してあって、自衛隊や在日米軍との共同研究がすすんでいることを知った先生は、この動きに危機感をもち、単に批判するのではなく「平和研究」の講座をたちあげようと考えたんだそうです。
講座では、小田実氏や加藤周一氏らが講義。その講義録『ラディカルに<平和>を問う』(小田実氏と共著、写真)をいただきました。
対談では、ドイツやNATOの現状、ふりかえって日本の現状をどう見るのか?興味深いお話をききました。
1つは、教育と子どもの主体性について。ドイツの大学では、講義中に学生からしょっちゅう手が挙がり「これが自分の問題意識だ」「わからないから教えろ」と質問をぶつけてくるそうです。また、小学校段階から、教・と親とともに生徒の代表が、学校運営や予算について討議し決めるとのこと。…子どもの主体性を重んじる姿勢がうかがわれ、一方の改悪教育基本法や「学力テスト」でがんじがらめ、「わからない」と言えない日本とは大違いです。
もう1つ「戦前のドイツといまの日本の状況が似ている」と木戸先生。民主主義や権利をうたった憲法があるのに、貧困と不安、鬱屈した空気が国民を覆っている。そこに「中国驚異」論や北朝鮮問題を利用して「仮想敵」をつくり、年金者vs現役者など分断をもちこむ政府。「美しい国」のフレーズ、「強力な国家」をもとめる流れ…。
お話をきき、こうした不安と不満を「戦争する国」にみちびく政治に反対し、政治を前向きに変える確かな力を大きくしなければ、とあらためて感じました。
また木戸先生は6歳と4歳の子どものパパでもあります。「ドイツ(旧東ドイツ地域)には母乳の献乳制度があるんで、無料でもらってました」との話にびっくり。社会保障制度が、旧「社会主義」圏ではずいぶん発達していて、それが欧州資本主義にも影響をおよぼしたんだそうです。
…日本共産党は「アメリカ型」ではなく欧州などの到達もふまえた「ルールある資本主義」をと日本改革の方向を主張していますが、それにも関わる大変興味深いお話で、勉強になりました。
*詳しくは『京都民報』2/18付をお楽しみに