07年1月 5日(金)
アートdeArt(10)日曜美術館30年展e001_artde)アート de Art
「日曜美術館」といえば、多くのファンをもつNHKの美術番組。放送開始は1976年だそうで、そういえば私も小学校の頃に見ていたなぁと…。その30周年記念展はおおいに楽しめます。
なんといっても放映された映像と作品とで構成されているのが特徴で、「アトリエ訪問」では、あの岡本太郎が「絵でございます、というようなもんね、まあとてもつまらない。計算づくで描いちゃダメね」と語りながら、150号の真っ白いキャンバスにぐいぐいと黒の線を描き、赤・黄・青の色をぶつけていく姿からは、画家のポジティブな力が伝わってきます。
山口華楊、秋野不矩など京都由来の作家も登場し、貴重な映像です。
また、著名人や作家が作品を語るシリーズでは、手塚治虫が〈鳥獣戯画〉を知って「漫画というのは何百年ちっとも変わってないじゃないか」とカルチャーショックを受けた話や、この番組によって広く知られ「日本のゴーギャン」と言われた田中一村(いっそん)を回想する奄美大島の人々、建築家・安藤忠雄氏が「生きることはつくること」とモネや棟方志功を語っているのを興味深く見ました。
「この絵はどうやって描いたの?」「何を表現している?」と訊いてみたいけれど訊けないという経験は誰にもあると思います。そうした「?」に答えてくれ、作家や作品をますます好きになれる展覧会です。もう少し作家ごとの作品数があれば、と感じましたが…。(『京都民報』1/14付 「アートdeArt」) *日曜美術館30周年展1/21(日)まで 京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)