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06年9月20日(水)

アートdeArt(3)アートは世界と人生そのものe001_artde)アート de Art

 「絵は、部屋を飾るために描かれるんじゃない。攻撃と敵に対する防衛のためのたたかいの武器だ」――「ゲルニカ」を描いたパブロ・ピカソ(1881-1973)の言葉です。

 「日韓美術交流展(主催・日本美術会)」会場で、再びその言葉を想い返しました。

 古澤潤さんの油彩。最初、紺の上の白い筆致は織物の模様のように見えました。まん中には焼け焦げたような痕跡。

 …近寄っていくと、あれ?筆致の一つひとつが生きモノのよう。あっ!これは人間だ。手もある、足も、顔もある人間の身体が並べられています。はっとしてタイトルに眼をやると、「IRAQ BODY COUNT V」。

 …では、焼け焦げたような痕は、バクダン、それとも地雷?その地上はほんとうはモノクロでなく、燃えるように真っ赤だったのかも知れない…。

 よく、「いい絵は、遠くから見ても近くでもいい」と言います。絵画に限らず“いい作品”は重層的な要素をもっていると私は思います。

 例えば、美しい花を静かに描写しているのにすごく大きな悲しみがにじんでいたり、くそまじめな顔を描いているのにポップで喜劇的だったり、さらには、こうやって言葉では代弁しえない画家自身のもののとらえ方や人間性が、作品には反映します。それを深く連想させる作品に出会うことが、私にとってのアートの魅力のひとつです。

 ピカソはこうも言っています。

 「芸術家は政治的存在であり、悲痛な、熱情的な、幸福な、世界の出来事にいつも気を配り、そのイメージで自分を完全に形づくるものだ。…豊かな人生そのものから離れて、冷たく無関心でいるなどどうしてできようか」と。

 アートは、世界と人生そのもの、なんですね。(『京都民報』9/24付「アートdeArt」)

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